2020年04月03日

「ふつうの系譜展へ」

2019年、最も楽しんだ企画展は「へそまがり日本美術」で間違いありません。2020年に「ふつうの系譜」展が開催されると知って、毎日楽しみにしていました。

★なお、現在の開催状況は下記を参照(してください当面土日月はお休みです)。困難な状況のもと開催を続けてくれる府中市美術館には心からの敬意を表します。
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/index.html


ふつうの系譜_00.jpg

今回のコンセプトは奇想と対照的なふつう。「『ふつう』の魅力を知れば、奇想も、そして『日本美術史』という更なる広い世界も、もっともっと輝いて見える」というのが今回のコンセプト。

主旨を読み「なるほど」と展示作品に目をやると、「へそまがり日本美術に戻ってきたのだろうか」と思うような奇想の絵が。この絵はふつうではないと考えて解説に目をやると「敦賀コレクションの前に、まず奇想の作品を見ておこう。『ふつう』の魅力が一層際立って感じられるかもしれない」とのこと。さすが府中市美術館、一筋縄ではいきません。

奇想の絵で最も恐ろしかったのが曽我蕭白の《騎驢人物図》。騎馬に乗った唐時代の詩人と従者が描かれているのですが、笑みをたたえた従者がなぜかこちらを見ています。絵の状況的にニンマリと笑う必要性はなさそうですが、なぜか笑顔。とにかく怖い。笑顔も目がしっかり合うのも怖いのですが、不思議と長い時間見つめ合っていました。

奇想の絵の次は敦賀コレクション。へそまがり日本美術では長澤蘆雪の子犬が大人気でしたが、今回はほぼ同じ場所に、円山応挙の子犬の絵が展示してありました。円山応挙《狗子図》が2作。可愛らしい絵です。円山応挙の犬の絵は、ふわふわした毛並みも素晴らしいですが、にょーんと柔らかく伸びた体の描写も最高です。この子犬の描写はリアルだと犬と暮らした経験から言えます。いつの時代も子犬はこんな感じなのでしょうね。

奇想、ふつう、奇想とふつうの間の3部構成の「ふつうの系譜」展。奇想とふつうの間は岸駒の絵。「がくがくとした独特の描線」が特徴と知って、デジタルソフトで絵を描く人が、わざとがさがさとした荒いペンを設定しアナログ風に描くという話を思い起こしました。線質で個性を追求するものなのですね。

昨年の「へそまがり日本美術」のことを思い出すと、展示スペースを回るだけで楽しくなってきます。日本美術なのにルソーの絵があった場所や、上様(徳川家光)のなんとも言い難いうさぎやみみずくの絵があったスペース、うなだれた鶴の絵があったところに「ふつう」の絵があるのは、なんとも表現し難い気持ちです。昨年と今年の春で置いてあるものがまるきり違いましたが、意外とへそまがり日本美術の作品の配置を覚えているもので、ここに〇〇の絵があったと懐かしく感じました。

楽しみにしていた企画展が無事に開催され、多くの作品に触れることができました。私が一番好きな画家はアンリ・ルソー。奇想の画家好きの私ですが、「ふつう」の絵の素晴らしさを改めて感じました。

ふつうの系譜_01.jpg

今回は、図録とポストカードと箱に円山応挙の可愛らしい子犬が描かれた豆菓子を購入。ハマスホイとデンマーク展が、東京都美術館が休館している間に会期終了してしまいグッズが買えなくなった教訓から、欲しいものはすべて手に入れました。

ふつうの系譜_02.jpg

「ふつうの系譜」展は、前期と後期で展示される作品がガラッと変わるので、諸事情が許せば、後期も行く予定です。
posted by 金沢幸彦 at 08:49| Comment(0) | 日記
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